「ひばりくーん」

「なに?」

「ひまー」

「そう」

「わ、冷たいなあ」

「僕は君と違って忙しいんだよ」

「忙しいの?」

「今日中にこの量の書類に目を通さなきゃいけないんだ」

「そっかー、大変だね」


「・・・」
「・・・」







「ねえねえ」
「何?」


「言葉逆さ遊びゲームしない?」





「・・・・・・・・ねえ

「はい何でしょうか雲雀君」

「今の僕の話、ちゃんと聞いてた?」

「聞いてたよ?」


「ならどうしてそんな言葉をよくも口に出来るのか、理解不能なんだけど」

「いいじゃない、ちょっとだけ!・・・駄目?」



「・・・・・・言葉逆さ遊びのルールは?」

「えーっとね、言いたいことの意味の逆の言葉を言う遊びなの」

「逆・・?」

「例えば、『リンゴが好き』なら、『リンゴは嫌い』みたいな」

「へえ・・・・・それって、楽しいの?」

「分かんないけど、今何となく思い付いたらやりたくなったの」

「え、じゃあそれ今君が作った遊びなの?」

「うん今私が作った遊びだよ」


「(本当に暇なんだなこの子・・)・・まあ、いいや。じゃー少しだけ相手してあげるよ」

「(なんか今思いっきり可哀相なものをみる目で見られた気がするけど気にしない!)わーい!じゃあはじめ!」

「ちょっと待って。どっちから?」

「(雲雀君たら結構ノリノリなんだなあ・・)え、じゃあ、わたしからにしよっか!一応発案者だしね!」




・・数分後・・




「あーあ、わたしったら今すごく忙しいから、雲雀君はわたしと遊んでくれなくていいよー」

「そう」


「・・・雲雀君、この書類たち、わたしにも何か手伝えることある?あっても手伝ってあげないよ!」

「・・・・・(無視)」


「・・・・・・・雲雀君、お茶とか入れてあげなくもないけど、いらない?」

「(・・何かもうそれ逆っていうよりツンデレの域だな) ・・・別に。任せる」




・・・そんな調子で更に数分後・・・




「だーーーー!!もうっ!!!!」

「え、なに」


「なんで雲雀君そんなに喋らないの!?冷たいの!? おかげでこの遊びちっとも盛り上がらないじゃない!」

「(そもそもこの遊び自体が盛り上がり難いと思うんだけど) だから、僕は今日中にこれ終わらせないといけないから、あんまり相手してられないって言っただろ」

「それでも相手してあげるって言ってくれたじゃない!」

「でもきちんと『少しだけ』って前置きしたじゃないか。 ちゃんと『少しだけ相手』してただろう?」

「むむ・・・っ」



「雲雀君は卑怯だー!」

「何とでも。 ていうかもう少し黙ってくれないかな。書類の進みが遅くなる」






「・・・雲雀君なんてきらいだ」


「・・なんだって?」


「ひばりくんなんて、だいきらいだ!、って、言ったんだよ」



「・・・そう」

「じゃあ、僕ものこと、だいきらいだ」




「・・・」
「・・・」



「ねえ雲雀君」
「なに?」



「やっぱり、言葉逆さ遊びなんてやめよっか。おもしろくないし」
「そうだね。ややこしいし」




「・・・」
「・・・」




「ねえ、雲雀君」

「なに?」

「わたし、雲雀君だいすきだよ。 だいきらいだなんて嘘だよ。逆さだよ」

「分かってるよ、そんなこと」




「雲雀君は? 雲雀君は、どっち?」

「さあね」



「・・・・やっぱり雲雀君は卑怯だ」

「何とでも」


「たまにくらい、ちゃんと言ってくれてもいいじゃない」









気が狂いそうなほどきみを愛してる」、なんて、


素直におしえられるわけがないだろう、そんな恥ずかしいこと













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そんな日常。
ヒロインがちょっと頭悪そうでごめんなさい